オランダといえばチューリップ。しかしなぜチューリップが有名なの?ということは案外知らないのでは。
チューリップはオランダの国花でもあります。でも、原産はオランダではなくてトルコです。
ではなぜチューリップがオランダで有名になって、国の花にまでなったのでしょうか。
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オランダはチューリップの栽培に適していたから
チューリップというのは球根植物ですが、オランダの気候と土壌がチューリップの栽培に非常に適していました。
チューリップは日当たりがよく、水はけの良い土地を好みます。
しかし、きれいな花を咲かせるには凍らない程度の寒いところで冬を越すというのが大事。
チューリップは、東京だと12月頃に植えて、冬を越すと春先にようやく花が咲きます。
寒いオランダですが、球根が冬を越すにはちょうど良かったということですね。
つまり、チューリップの性質とオランダの風土があっていたから、というのが理由の一つです。
オランダは球根生産量世界一
オランダのチューリップの球根生産量は世界一です。世界シェアはおよそ9割にものぼるので、まさに「チューリップといえばオランダ」なのです。
2位は日本。とはいえその生産量は、オランダの10分の1です。オランダのチューリップ生産量がいかにすごいかわかるでしょう。
ちなみに日本の中では、球根生産量1位が富山県、切り花の出荷量1位は新潟県です。
大規模経営で効率的な生産
オランダではおよそ半数の栽培農家が8ha以上の大規模経営を行なっています。
10aあたりの労働時間は1960年には410時間でしたが、1995年には75時間まで減少しまし、効率的な運営ができています。
その一方で日本は…1994年で約250時間とオランダの3倍です。
(参考:富山県におけるチューリップ球根生産・流通と国際化対応)
オランダでチューリップ人気が高まったわけ
16世紀にオランダにチューリップがもたらされてから爆発的な人気になるのですが、なぜそんなにチューリップの人気が高まったかのでしょうか。
チューリップ以外の花だってたくさんあるわけですから。
オランダの気候と風土がチューリップにあっていたから、というお話をしましたが、それによってこれまではなかった品種が交配によってどんどん作られたのだそうです。
チューリップは今でこそ小学校でもたくさん咲いている、どこにでもある花ですが、当時は貴族の楽しみ。
お金のある人たちしか楽しめない花だったのですが、新しい品種が開発され、種類も増えて、栽培方法が普及するにつれて一般の人にも広まっていったのだそうです。
入ってきた当時の品種しかなかったら、こんなに人気が出なかったのかもしれないですね。
で、チューリップは貴族に人気があって高く売れるものだから、園芸業者がどんどん品種改良をするわけです。
チューリップは、他の植物よりも交配しやすいという特徴があったのも、品種改良が進んだ理由です。
そしてあらゆるところでチューリップが作られていったことから、オランダはまさにチューリップの国になったんですね。
一般の人に広まるには、もう一つの契機がありました。それがチューリップバブルの崩壊です。
貴族に売れるから業者はどんどん品種改良をし、球根の価格が高騰していきました。
しかしバブルってのは弾けるもので、はじけた後は価格が崩壊しますから、庶民でも買える値段になったということです。
これは、世界で初めての「バブル崩壊」。オランダの黒歴史でもあります。
一面のチューリップ畑は広がっていない?
オランダというと風車とチューリップ畑をイメージする人も多いと思うのですが、チューリップは「花」として売っているわけではなくて、「球根」が大事。
球根を売るためには花をいつまでも咲かせていたらダメなのです。球根が弱ってしまうから。
だから、出荷用の畑は花が咲くとすぐに摘み取られてしまう…。
球根を太らせるためには、葉は残して花だけを摘み取るのだそうです。
ですから、オランダで一面のチューリップばたけを見るのは、意外と難しいのです。
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